資料

慢性痛ケア基準:高齢者介護施設や長期療養施設用

年を取るにしたがって,慢性的な体の痛みに苛まれている方が多くみられます.高齢者の慢性痛は,それへの治療やケアが難しい場合もあります.さらに,高齢者の方々は,「痛みは我慢すべきもの」「痛い痛いと言ったら迷惑がかかる」「年だからしょうがない」など様々な理由で痛みを訴えなかったり,認知機能の低下により痛みを訴えることのできない場合もあります.

痛みは5つ目のバイタルサインともいわれ、呼吸や脈拍、血圧や体温とともに、その定期的なアセスメントの必要性が提唱されています。しかし、慢性化した痛みに対して,どのようなアセスメントやケアが必要かをまとめたケア基準が整備されている施設も少ないことが明らかとなっています.そこで,海外の痛みのケアに関するガイドラインやケア基準を参考に,痛みのエキスパートや看護師や介護職の方々への調査や協力を経て,高齢者介護施設・長期療養施設の看護師・介護職者の皆様にご利用いただけるような慢性痛ケア基準を開発しました.

これはあくまでも痛みのケアを再考するための指標であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。使用者が個々の状況について吟味し、実施するかどうかを判断してください。情報等の利用により何らかの損害が生じた場合であっても、私どもは責任を負いかねますので、その点をご理解の上ご活用ください。このケア基準により,高齢者の方々の痛みのケアを見直すきっかけとなりますと幸いです. 

研究代表者 高井 ゆかり

慢性通ケア基準の使い方

慢性痛ケア基準の目標

  • 使用者(高齢者長期療養・介護施設の看護師や介護職者)は,多職種連携を行いながら,高齢者毎に必要なアセスメント方法やケアの選択ができる.
  • 高齢者の生活の質(QOL)の向上を図るために、高齢者への慢性痛ケアの質を向上させる。

このケア基準の対象者と使用者

  • このケア基準の対象者は,長期療養・介護施設に入所している高齢者を想定して作成しています.ケア基準の使用者は,看護師や介護職者としています.
  • 本ケア基準における慢性痛とは,繰り返し起り3ヶ月以上続くような体の痛みとします.
  • このケア基準は,がん性疼痛や急性期的治療が必要な痛みを想定していません.このケア基準に載っていること以外にも,アセスメントやケアが必要な場合がありますので,ご注意ください.

使用方法

  • このケア基準は,以下の4つの分野から構成されています.
    『組織的アプローチ』
    『ステージ1:痛みの発見』
    『ステージ2:痛みのアセスメント』
    『ステージ3:痛みへのケア』
  • ケア基準は,通し番号を振っています.
  • 青太字の内容は,優先順位の高い(実施することをお勧めする)内容を示しています.
  • このケア基準は,標準的なケアを示しており,すべての人に当てはめられるわけではありません.必要に応じ専門家へ支援を求めてください.
  • ケア基準をあてはめる・実施するかどうかは、個々の状況(対象者や使用者の状況や環境など)に合わせ,使用者それぞれの判断により行ってください.
  • ケア基準は,定期的に見直しを行っていく予定です.
  • このケア基準を転用する際や不明な点・お問い合わせは,お問い合わせより連絡ください.
下の青い文字をクリックするとPDFファイルをダウンロードできます.

テーラード・ケア

高齢者の慢性痛へのケアを考える際に、特に重要な内容をまとめています.テーラード・ケアをスローガンに一人ひとりの高齢者に合った痛みのケアを考えてみませんか.(無断転載禁止)